2010.2.23

 『音楽は時間と距離を超えた贈物』だとずっと思っていた。インターネットや携帯メールでのコミュニケーションが盛んになるに連れて、普段顔を合わせた時には交わせないことまで文章で語り合う。電話すら嫌う。ペットを通さないと近所の人とも会話のきっかけが掴めなかったりする。

 そんな時代に『音楽は時間と距離を超えた贈物』である前に、まず隣の人に語りかけることを音楽で求められているのだろうか。最近生まれてくる10〜20代の作る詩を見ているとそんなことを考える。

 ステージや舞台が特別な場所だったはずが、いつの間にか誰でもが簡単にステージを自分で作り出す。そこにボーダーはない。

『音楽は時間と距離を超えた贈物』である必要がなくなったのかもしれない。だから時代を超えても残せる記録媒体も必要性をもたない。テープやヴァイナルや紙や石碑は、少なくとも現代の記録媒体より時間も距離も超えることができる。だが今やその重要性は一部の限られた人たちだけにしか意味を持たなくなって行く。

 音楽を商売と考える人が作り手を上回り、本当に必要なものなのかを見極めるべき人たちが少なすぎるのだろうか。

 

BANANA ICE for 下町兄弟